横浜のBUKATSUDOで「いちにち入門」第3回「漆器」とコラボレーション

2020年1月26日

 2020年1月25日、横浜のBUKATSUDOで「いちにち入門」第3回として「漆器」の講座が開催されました。講師は、漆の伝道師として福島・会津若松を拠点に漆器販売や工房ガイドツアーの企画・活動に取り組む、「漆とロック」の代表・貝沼航さんです。

 今回の講座は、すりながし協会が貝沼さんにラブコールを送ったことがきっかけで実現しました。協会は、すりながしを蕎麦猪口やマグカップで気軽に食べることを提案していますが、口当たりの滑らかさで漆器に勝るものはありません。漆器で食べるとすりながしをいっそうおいしく感じられるのです。“本物の漆器ですりながしを食べてほしい”との思いから、今回の企画が生まれました。

「漆とロック」の活動の柱は、「めぐる」という、飯椀・汁椀・菜盛り椀の三つ組の漆器のプロデュースです。入れ子になる美しく機能的な形は、禅の修行僧が用いる「応量器(おうりょうき)」に着想を得たものだそうです。「めぐる」は、国産のトチの木を用い、会津の腕利きの職人たちによって作られています。
合成樹脂製品の普及により壊滅的な状況の日本の漆産業において、「漆とロック」は、「めぐる」の販売を通して、国産漆の植栽や若手職人の仕事づくりにつながるしくみづくりを行っています。

 講義の中でとくに印象に残ったのは、具体的な数字を示しての「めぐる」の販売による持続可能なしくみづくりの話でした。
仮に、デパートで1万円の漆器を売る場合、問屋や小売店などの中間業者にマージンが生じるため、漆器の原価率は2割程度に抑えられ、木地師、塗師、蒔絵師ら職人の収入は千円を下回ってしまう。「めぐる」は、「漆とロック」が直接消費者に販売することで、職人が仕事を続けていけるだけの収入を確保することを目指しています。大規模生産でもなく小規模生産でもない、中規模生産が持続可能な在り方ではないかとの問いかけに、大きくうなづきました。

漆器の素材や扱い、日本の漆事情などについて学んだ後は、実際に漆器を使って食事をします。
漆器というと、お正月などの特別なときにだけ使い、手入れが大変そうというイメージを抱く人が多いかもしれません。でも、最強の天然塗料である漆は、毎日使うことで味わいが増し、塗り直せば次の世代へと受け継いでいけるものなのです。

食事の内容は、白ごはんとえのきだけのすりながしに香の物(漬物)。
えのきだけのすりながしは、えのきだけのグアニル酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果で、驚くほどのうま味が。乳製品を使っていないのが信じられないくらいのクリーミーな味わいです。
香の物は白菜の浅漬け、柚子大根、梅干。一汁三菜、最近では一汁一菜といった言葉も耳にしますが、かつてのお膳には、「菜」=おかずに加えて、必ず香の物(漬物)が並んだものです。

食事の後は、参加者各々が漆器を洗い、布巾で拭き、しまうまでを行い、漆器の手入れがそれほど難しくないことを実感してもらい、講座は終了となりました。

知れば知るほど奥が深く、興味が尽きない漆の世界。すりながし協会は、今後も漆器にまつわるコラボイベントをしていきたいと考えています。