すりながしとは

「すりながし(擂り流し)」は、野菜や魚介などの食材をすりつぶし、だしでのばした、日本の伝統料理です。

『マンガでわかる日本料理の常識』より 調理:長島博/撮影:公文美和

料亭や割烹の会席料理では、すりながしは「椀物」と呼ばれる、漆器のお椀に入った料理として提供されます。

椀物とし提供される本格的なすりながしは、「吸い地(だしで調味した汁)」、「椀だね(具)」、「椀妻(椀だねの添え物)」、「吸口(香りを添える薬味)」で構成され、ふたをして提供されます。

例えば、左の写真では、吸い地は百合根のすりながし、椀だねは蟹しんじょう、椀妻は焼椎茸と梅人参、吸口は松葉柚子です。

『すりながしのレシピ』より 調理:長島博/撮影:公文美和

そんな本格的なすりながしがある一方、家で手軽に作れる「すりながし」としておすすめしたいのが、椀だね(具)などは省き、たっぷりの野菜をだしと合わせ、とろみをつけたシンプルな「すりながし」です。

ミキサーやハンドブレンダ―を使えば、こしたりおろしたりする手間がいらず、煮込まないので、短時間で作れます。だしの力で素材そのもののうまみが倍増し、そのおいしさにきっと驚くはずです。

毎朝のスムージー感覚で、味噌汁やスープの代わりに、おやつの時間のスイーツ代わりに……。カップやそば猪口で気軽に楽しんでください。

すりながしの魅力

だしと素材のうまみを実感

だしのうまみが素材の味を最大限に引き出します。乳製品を使わないため、素材そのものの味がしっかり感じられ、カロリーも控えめです。

旬野菜がたっぷりとれる

簡単に作れ、素材そのものの味が感じられるすりながしは、旬野菜を楽しむのに最適の料理。だし:野菜=1:1で作れば、1杯で野菜100gを摂取が可能です。

野菜を無駄なく食べられる

キャベツの芯やブロッコリーの茎などのかたい部分もミキサーにかければ、野菜を無駄なく食べられます。野菜の栄養分もまるごと摂ることができます。

さまざまな素材で作れる

魚介や海藻、豆腐、果物などあらゆる素材で作れます。魚で作ればたんぱく質豊富な贅沢な汁物に、果物で作ればスイーツにとバラエティ豊かに楽しめます。

味のアレンジが自在

一つの素材のペーストから作るシンプルなスープなので、ほかの素材のペーストと混ぜたり、油やスパイス、チーズを加えて洋風にしたり、自由に味のアレンジができます。

トッピングで映える

トッピングは、汁の味わいに風味を添えるだけでなく、切り方などを工夫することで、無地の素地に描く絵のように、見栄えの楽しさを演出できます。

冷凍ペーストで時短調理

素材をペースト状にするので、じゃがいもなどそのままでは冷凍に向かない素材でも冷凍が可能。食べる直前にだしで割れば数分で出来上がります。